江戸時代の森との共生システムがこれからの日本を救う

木と土と竹で、土壁と伝統構法の家を建てる理由②


世界の森と日本を救う、土壁と伝統構法の家造り

まず下から若い二人が重い梁を持ち上げます。
まず下から若い二人が重い梁を持ち上げます。

このチャレンジは我が家にとっても大きな負担で、困難な事です。しかし、『日本の木で家を建て、日本の森と世界の森を守ろう!』という柄にも無いビジョンからこの家造りを始めました。こうした家造りが広がって、日本全国の様々な建物が伝統構法で建てられる時が来ると、若い職人さんたちの腕が磨かれます。すると働きに見合った給料で仕事ができます。若い人々の希望になります。美しい建物が観光客を呼びます。政府の目指す観光立国も夢じゃないはずです。

江戸の昔、大工も左官も職人たちはアイドルで花形商売だったそうです。棟梁こそが(たくみ)と呼ばれるにふさわしい職業なのです。 それを見て多くの外国の方が私も学びたいと思うでしょう。日本の森が再生した事を知ると、私たちも教えてくれと言って来るでしょう。実際に日本には世界の森を再生している素晴らしい学者やスタッフが大勢おられます。伝統構法を学ぶ外国人も既におられます。

若い人たちと言えば、我が家の新築工事を担ってくださる大工の都倉さんと3人のお弟子さんたちの仕事を見学していて気づいたのですが、仕事中、棟梁が指示する怒鳴り声が無いんです。一つ一つの仕事が終わって、次の仕事に入る時、誰も指示を仰いでいないんです。自分がする次の作業が何なのか、体が分かっている感じです。若い人々にちゃんと技が伝えられていっているのです。

未来の世界の森を救うのはいま伝統構法を守っている若い大工さんと、森で木を育てている若い杣人たち、化学物質に頼らない自然豊かな農業を担う若者たち、そしてそれを選ぶ私たち消費者なのでしょう。 こんなに壮大なビジョンを抱いて始めた家造りです。市井(し せい)の名も無い夫婦の無謀な試み、みなさん応援してくださいね。また、共感してくださる方、ぜひ見学に。環境に優しいだけでなく、気持ちのいい、人にも動物にも植物にも優しい家に遊びにきてください。

とても優しい家だという事は建ててる最中から実感してます。工事現場の音や香りがいいんです。町家大工都倉のみなさんたちがこの文章に掲載した写真の柱と梁の美しい家を建ててくれています。 幸せで豊かな暮らしをしながら、地球に優しい、環境を守る暮らしが出来るなんて、ちょっととても得した気分。何千億ものお金を持っているよりも幸せな気分だと思います。

次回は「大切な森が消えていく時代 なぜ江戸に学ぶのか」を掲載します。原稿を書いていたら、間にいくつかテーマが入ってしまいました。「なぜ江戸に学ぶのか」はもう少しあとで掲載します。すみません。


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