妻壁の下地作り【Ⅰ】大工仕事編

【伝統建築現場レポート】本漆喰の妻壁① 2014年5月26日


荒壁付け後、しばらくは大工さん方は別の現場へ、その間は施主である私たちが留守番兼ちょっとした作業をしていました。それについてはまた別の機会に紹介します。久々に大工さん方が来られるという日、少し遅れていくとすでに都倉棟梁と良治さんが忙しく立ち働いておられました。

大工作業再開

和室の床張りの準備。一本一本の床板を支える大引に根太や断熱材を入れる隙間を作るためにノミを入れる棟梁。 実はこのあと他の作業や撮影をしているうちに、気がつけば和室の床が張り終わっていたので、この作業の写真はこれのみ。和室の床は作業場に使うために養生シートが張られ、次にお目見えするのはもしかすると完成見学会?棟梁作業早いぃぃ!です!
荒壁がきれいに乾いてきました。夕立が何日か続いて心配でしたが、すっかり乾いて2階部分や太陽光が当たる部分は他の部分より日焼けして荒壁が濃い色になるほど。人間と同じように日焼けするんですね。 太陽の力ってすごい!

妻壁の下地作り始まる

3時の休憩のあと、何やら始まったなと思ったら、すでに妻壁には断熱材と防水シートが張ってありました。 このシートは遮熱防水透湿シートといって、外の熱と、雨水や結露など水分が中に入るのを防ぎ、断熱材の中にたまった湿気はこのシートを通過して外に出るという機能を持っています。 登山に使うゴアテックスみたいですね。
棟梁は足場の上の作業スペースで板の切断を始めました。角を三角にした長い板を作って、妻壁の方に運んでいきます。
断熱材と防水シートを張った上に、下地の板を張っていきます。最下段の一枚はきちんと水平をはかり、その上を張っていく基準に。2枚目からは金槌の頭をスペーサーに使ってきれいに張っていきます。
作業スペースにいる良治さんに「50cm短く、両端だから1m短く」と棟梁が指示。棟梁側で聞いていたので、台形の上端、短い方の長さを伝えなくて、どうやって三角形を伝えてるんだろ?って悩んでいました。ちゃんと斜めになった定規を使って切るから、下端だけでいいのか!と見に行ってなっとく……。
さすが弟子と親方、しかも親子、てきぱきと作業が進んで、同じ間隔で整然と下地板が並んでいきます。昔の家と同じでもちろん無垢の杉板です。
上の写真の防湿シートの下の断熱材の層は天井裏へつながってます。まだ作業をしていなかった裏面の同じ場所を撮影。屋根板と天井板の間のスペースに乾いた空気が上がっていく構造です。もちろん、天井裏にも断熱材が入っています。
電動ドリル、ジグソー、トリマーとなぜかあまり使わないのに持っている電動工具マニアとしては、暗いところで明かりにつく電動ドライバー欲しいなぁ!とうらやましげに棟梁の手元を見ています。 下地板は屋根にぴったり付けるのかと思いきや、少し遊びがあけてあります。
明日から左官さんの作業にバトンタッチするので、最後の1枚を張り終わったら、結構周りが暗くなってきました。 いつも遅くまでありがとうございます。
張り終わった妻壁部分。このあとは左官さんの作業にバトンタッチです。いつも思うのですが、隠れてしまう所にも手を抜かない作業ですね。

次の日は左官の江原親方にバトンタッチ。漆喰塗りの前の下地作りです。

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