あさりおん

【第五話】まるに弟妹のネコが……

 僕とお爺さんとお婆ちゃん、お姉さんのネコたちが仲良く暮らしてた頃、お婆さんはあまり体調が良くなくて、夜中に僕がうろちょろしないように、僕は板の間の部屋にリードで繋がれてたんだよ。

 僕、寂しがりやだからお婆ちゃんになでて欲しくて、ベッドの周りでちょろちょろしてると、お婆ちゃんの邪魔になるので、アッコちゃんとお爺さんが板の間の部屋にリードで僕をつなぐことにしたの。

 そそ、前にお外の犬小屋のこと書いてたけど、あれね、僕が何度も板の間に寝てたの!って話しても、お父さんにはちゃんと伝わらなくて、思い込みでお外の犬小屋で寝てたって書いちゃったの。犬と人間のコミュニケーションは難しい!ってお父さん。ちゃんと取材してね!

お姉さん猫さんと一緒に!

 本当は板の間に寝てると、お姉ちゃん猫たちが僕の側に来るから、暑くなってしょうがないんだ。でも僕、猫ちゃんたち大好きだから、一緒に寝てたの。冬なんて、猫ちゃんたち暖かいから、僕、猫ちゃんたちのおしり引っ張って、抱っこして寝てたぐらいなんだよ。猫ちゃんたちも、僕のこと大好きだったんだ。だって、僕に捕まえられるの知ってて側にいるんだもん。

 お爺さんは、お姉ちゃん猫さんにもちゃんとエサをくれてるのに、僕がご飯食べてると、横からやって来て、私にも頂戴!ってお皿の中に頭を突っ込んでくるんだ。僕、カリカリあんまり好きじゃないから、文句いわずに一緒に食べたんだよ!

 猫と犬が一緒にお皿に頭突っ込んでるのって、変ですか?

 毎日、猫のお姉さんたちって、いつの間にかどこかに行っちゃうの。僕はリードがついてるし、お外に一人で行くの怖いから、絶対、そんなことできないけど、猫さんたちはいつの間にかどこかに出かけて、冬が終わってお外が暖かくなった春なんて、夜になっても帰ってこないんだよ。僕一人でつまんないぃぃ!

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お婆ちゃん入院!

 ある日、お婆ちゃんいつもよりもっと具合が悪くなって、お婆ちゃんも夜になっても帰ってこない日が何日か続いたんだ。ご飯と散歩はお爺さんがいつもと同じにしてくれたけど、お爺さん、ちょっと寂しそう。

 それから何日かして、アッコちゃんが僕のところに来て、「お婆ちゃん、入院したから、しばらく帰って来れないんだよ。寂しいけど我慢してね。」って目に涙ためて、お話ししてくれたんだ。アッコちゃんなんか悲しいことあったのかなぁ?僕心配になったから、鼻でつんつんって、アッコちゃんの手をつついて、元気出して!って言ったの。伝わったかなぁ?

 それから、夏になって、お婆ちゃん、お家に戻ってきました。少し具合が良くなって、退院できたんだって。お婆ちゃんよかったねぇ!いっぱい撫でてねぇ!

 でも、お婆ちゃん、前みたいになでてくれませんでした。体調が悪いので、機嫌が悪く、僕のこと「バカ犬!」って怒ってばかり。ちょっと寂しいなぁ。僕、撫でて欲しいのになぁ。

 そんなある日、今のお父さんとお母さんがお婆ちゃんのお見舞いに来たの。僕、このとき二人を見かけてたから、もう一度二人が来てくれたとき、このおじさんは優しいって思って、怖いおじさんから逃げる場所にしたんだ。怖いおじさんの話しは、いつか話します。

お婆ちゃんとお別れ

 暑い夏が終わって、秋が来て、お婆ちゃん再び入院したの。その頃、お姉さん猫、だんだん太って来て、お腹重そうに歩いてた。何でこんなに急にお腹が大きくなるんだろ。猫さんて大変だなぁ!

 何日もお婆ちゃんが帰ってこなくて、アッコちゃんが僕のご飯を持って来てくれたり、お爺さんが散歩に連れて行ってくれたから、うれしかったけど、お婆ちゃんいなくてちょっと寂しかったんだ。

 そしたら、ある日、アッコちゃんが泣きながら僕の頭をなでてくれてたの。僕、ウトウトしてて気がついたら、なでてくれてるから、どうしたの?ってつんとお鼻でアッコちゃんの手をつついたら、「お婆ちゃん天国に行ったよ。今日亡くなったんだよ。」ってアッコちゃん。僕には意味が良く分からなかったけど、アッコちゃんが寂しそうで、お婆ちゃんがいないから、きっともう会えないんだろうなぁって思って、僕も寂しかったの。アッコちゃん元気出してね。

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猫さん出産

 お婆さんが亡くなったその夜、お姉さん猫さん、小さな赤ちゃん猫を何匹か産んだの。可愛い子猫さんたちが何匹か。僕の周りをちょろちょろしてて、とっても可愛いから、その日から僕は子猫さんたちを弟妹にしました。

 とっても可愛いから、見つけては僕の側にひょい!って捕まえて抱っこしてたんだ。お母さんのお姉さん猫も、僕のことは心配しないで子猫ちゃんたちを任せてくれてたんだ。猫ちゃんたち可愛いんだよぉ。可愛いからオシリを抱えて引っ張って、僕の側に並べておくの。暖かいし気持ちいいんだよぉ。猫と犬だって家族になれるんだよぉ!

 お爺さんは子猫ちゃんたちをどうしようか悩んだんだけど、お婆ちゃんが亡くなった夜に産まれたから、あげるのも捨てるのも出来ないって、全部まとめて飼うことにしたんだって。その日、産まれた猫が何匹なのか、僕分からないんだけど、お姉さん猫たちもあわせて10匹いたのは覚えてます。アッコちゃんもお姉さん猫のこと、名前で呼んでたけど、後の猫は適当だったって。言ってたんだってお父さんが笑ってた。

 それから僕とお爺さんと10匹の猫の生活が始まりました。

僕とお爺さんと猫10匹のお散歩

 猫さんたちは家にいつもいるわけではなく、ご飯の時にも全員が揃うことはあんまりなかったよ。でも不思議なことに、僕とお爺さんがお散歩に出かけると、毎回猫さんたちどこからか戻って来て、お爺さんと僕の後をぞろぞろ猫さんたちも散歩始めるの。僕とお爺さんが夕暮れの中川の土手を歩いていると、猫さんたちがぞろぞろついてくるんだから、近所の人たちは不思議だったんだって。ちょっと有名な風景になっていたらしいよ。お父さん、その頃の僕をカメラで撮れなかったのはとっても残念だぁっていつもぼやいてます。

 お婆ちゃんが亡くなった日から、僕とお爺さんと10匹の猫の生活が始まりました。そんなに長く続かなかった日々ですけど、今と同じで僕の幸せな時でした。僕って、悲しい別れがあったけど、幸せな犬だなって思うんです。

 今日は、これからまた、お散歩行くらしいから、次のお話しはまたねぇ!

【編集部より】2週ほど抜けてすみません。
抜けないように作者のおしりをたたいていきます。
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