あさりおん

筍と春のごちそう。

今年もたけのこの季節がやってきた

寒い冬がようやく終わり、暖かい日が増えてきたなぁと思ったら待ちに待った筍の季節がやってきます。デパートなどめったに行かない私たち夫婦もこの時ばかりはデパ地下めぐりをして旬のたけのこを探します。ここ数年買っているのは小ぶりの京都産の筍。少々お値段ははりますが、色んな料理に展開できると思えば、安いものです。外で食べることを考えれば、なおさら。今年は買うタイミングが早かったのかもしれませんが、京都産の筍が例年よりも高かったので、第一弾として小さ目を4本だけ。第二弾は、たまたま見つけた石川産(お値段は京都産の半額程度)を8本(これも小さめ)購入して作ってみることにしました。結果、石川産は京都産と変わらぬ美味しさ。お値段を考えたらコストパフォーマンス抜群ですね。

そして、今回は気分を変えて新しいレシピで作ってみることにしました。

新しい料理本片手に春の食材を

東京のスーパーにも旬の筍やうど、たらの芽、ふき、こごみなど今しか出回らない食材が並ぶ季節なので、春の料理を何品か作ってみました。

今回の新しいレシピ本は、京都料理人の巨匠と言われ、ミシェランの三ツ星の打診を辞退されたことで話題にもなった新橋「京味」のご主人、西健一郎さんの『日本のおかず』です。

和え物、煮物、焼き物・揚げ物、鍋物・汁物、ご飯物と一通りの和食が網羅されていますが、きゅうりの胡麻和え、卯の花、筑前煮、ひじき煮、ぶりの照り焼きなどなど家庭で作れるものが大半です。ほんの一部、とこぶしとか赤貝など普段のスーパーでは見つけられない食材のものもありますが、大半は日常で作れるものばかりなのがありがたいです。

今回作ってみたのは「筍ご飯」「ごぼう、うど、蓮根のきんぴら」そして定番「豆あじの南蛮漬け」です。(写真の筍の煮物とお汁はこの本のレシピではありません。)

筍ご飯は炊き込み式

「筍ご飯」は一般的な炊き込み式レシピです。奈良の私の実家ではずっと炊き込み式でしたが、岡山出身の夫の家では後まぜ式だったそうで、最近はそちらを作ることが多かったのですが、今回の炊き込み式筍ご飯はどうだったでしょうか。

後まぜ式で育ち、炊き込み式ご飯には今ひとつ反応が鈍かった夫も、このレシピの筍ご飯は「味が濃くて、とてもおいしい!」と一言。やはりレシピによるのですね。このレシピでは筍を入れる前にご飯を一番出汁と薄口醤油でしっかり味付けします。一番出汁の料も薄口醤油も、今まで作って来たレシピより若干多めの気がしたので、少々不安がありましたが、炊きあがってみると実に美味しい筍の香り高いご飯に仕上がりました。

きんぴらは、新ごぼう・うど・蓮根れんこんの3種で食感豊かに

「ごぼう・うど・蓮根のきんぴら」は新鮮な食感が味わえて、ピリ辛の正当派きんぴら、という感じに仕上がりました。白ご飯の方が合うと思いますが、常備菜として最適だと思います。赤とうがらしは1本入れるとかなりぴりっとしますので、お子さんのいるご家庭では加減されたら良いでしょうね。やはり一度作ってみると、次回の時はこの分量にしてみようとなって、自分なりのレシピに変わっていきます。それが本来の料理本の使い方なのですね。

本書では各料理ごとに作り方のポイントが文章で書かれています。このきんぴらのレシピでは「油で炒める調理法では火の通りが早いのでごぼうのささがきは大胆に粗く、大きくで良い」と書かれていました。分量と作り方以外にこういったアドバイスがあるのはとてもありがたいです。

定番中の定番、あじの南蛮漬けは漬け汁がポイントに

そして「豆あじの南蛮漬け」。今までの南蛮漬けでは薄切りにした玉葱や人参、ピーマンなどを乗せていましたが、このレシピでは焼いた白ネギのみ。グリルで焼いて漬け汁に入れると白ネギの甘みがでて、実に美味しかったです。シンプルで美しいレシピだと思います。今回、スーパーで買っていたのは豆あじではなく、小あじでした。パックをあけると中サイズもまじっていたので、レシピの分量通り(豆あじ20匹分の分量)だと漬け汁が足らなくなっり、急遽、作り足しました。片栗粉を薄くつけて中温でじっくり揚げるのは他のレシピと同じでしたが、漬け汁の材料は酢と薄口醤油、砂糖のみならず、昆布、かつお節も入れてだしの味もきかせて作ります。南蛮漬けは酢が多く使われているので、冷蔵庫で3、4日は保存可能だし、これも常備菜として重宝しますね。

料理本は強力な助っ人

料理本が大好きです。美しい写真の数々を見ているだけでも、幸せな気持ちになります。最近では、実際に教えを請うことなど到底不可能な料亭の料理人さんたちも数多く家庭料理の本を出されているんですよね。なんと、贅沢なことなのでしょう。まずはそのレシピ通りに作ってみると、色んなことが見えてきます。でも、あくまでも家庭料理のレシピですが。

「あれ、この人は意外にたくさん薄口醤油を使うんだな。」とか、「この人はここでは出汁を使わないのか。」などと考えながら作るのも楽しい発見です。当たり前のことですが、料理人ごとにそれぞれに特徴があり、同じ肉じゃがでも作り方も出来上がりも違います。それがまた、マンネリ化しがちな普段のおかず作りに役立ちます。

『日本のおかず』西 健一郎 著

今回ご紹介したレシピ本には他にも作ってみたくなる料理がたくさん。美しい写真を眺めているだけでも楽しいものですが、やはり実際に作って食べてみるとその喜びは格別です。

西さんのお店「京味」では紹介のお客さんしか取られていないようですが、この本でご主人の作られる家庭料理を再現してみるだけでも、なかなか楽しいものです。四季豊かな日本にせっかく生まれたのだから、春の食材を家庭でも満喫できるといいですね。そういう時に料理本は必ず強力な助け手になってくれると思います。

  • 今回紹介した「日本のおかず」は絶版になっているようで、中古でしか手に入りませんでした。料理本の良書をたくさん出版されている幻冬舎さん、ぜひ再販をお願いします!
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