途に倒れてだれかの名を呼び続けたことはありますか……

あぁ、懐かしき昭和絶望ソング① わかれうた —中島みゆきー 【20190324ちょっと改定】


みゆきさんはアマゾンで買えなかったので、研さんで…

わかれうた

「私の歌が朝の顔でいいのか?」と本人が言ってるように、昔は、失恋の暗い歌ばかり歌っている、というイメージが強かったように思うが、彼女が書くのは歌詞というよりも文学だ、という評する人も多い程。インテリ層にも彼女のファンは多い。歌詞の内容も、「暗い」の一言ではとても片付けられないが、でも、やはり何だかんだ言っても暗い歌が多い。特に彼女が10代、20代の頃に作った曲は、実に暗くてジメジメしている。

「わかれうた」では、歌詞の冒頭、

途にたおれて誰かの名を
呼びつづけたことがありますか

と、いきなり聴く者の度肝を抜く。このインパクトある問いかけ。こんな曲、他にあるだろうか。そして何より、この現実離れした絶望感。このようなシチュエーション、大抵の人は映画の一シーンでしか見た事はないだろう。私もこの曲をはじめて聴いた時、「里中満智子の「スポットライト」で女優である主人公が演じるシーンだ。」と思ったのを思い出した。漫画の、それも劇中劇。それ位の現実離れした場面だ。しかし、みゆきは、それがあたかも彼女の実体験であるかのように歌う。この歌が大ヒットしたのはひとえにこの冒頭の問いかけではないかと思ったものだ。

そして有名なサビの部分

別れはいつもついてくる
幸せのうしろをついてくる

それが私のくせなのか
いつもめざめればひとり」

自分の幸せのうしろにはいつも別れがあって、それがくせのようについて離れない。いつもいつもわたしはひとりぼっち、めざめればひとりだ、と嘆く。

これを聴いた者は「あぁ、そうそう。ほんとにそう。わたしもよ。」と思う人もいるだろうし、「いやぁ〜、すごいなぁ〜。こんな経験はしたことないや。それに比べたら私はまだ幸せかもしれないな。」と色んなことを思うかもしれない。

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